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アンドレア・シュッツ来日記念イベント【フォトレポート】

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イタリア クレモナに工房を構えるマエストロ アンドレア・シュッツ氏の来日を記念して、クロサワバイオリンの各会場にて3日間に渡り開催されたイベントを写真と共に振り返ります。
実際にお会いしてまず驚いたのが、身長190cmはあろうかというほど高身長のシュッツ氏。この大きな手で繊細な楽器の数々を生み出していると思うと感慨深いものがあります。

Andrea Schudtz

(アンドレア・シュッツ)

1973年生まれ、自身の工房で楽器製作だけでなく若手の育成にも力を注ぐ製作家。
14歳でスペインへ渡り、同じく製作家であった父親のパーベル・シュッツの工房で弦楽器製作の基礎を学び始めます。その後、クレモナの製作学校でマッシモ・ネグローニやステファノ・コニア、ジョルジョ・スコラ―リなど名だたる製作家の元で製作技術をさらに磨いていきます。
15歳には製作コンクールに参加を果たしモスクワ、パリ、プラハ、バヴェーノ、アメリカで開催されたコンクールで次々と
入賞。第11回目のトリエンナーレにも参加を果たしています。
楽器だけでなくバロック弓の製作も行っており、自身の工房で良質な作品を作り続けています。

アンドレア・シュッツ来日記念イベントスケジュール

日程 内容 開催場所
2023.8.11 [金/祝] アンドレア・シュッツ×執行恒宏 トークライブ&コンサート お茶の水店
2023.8.11 [金/祝] オールド楽器レクチャー&製作楽器メンテナンス会 御茶ノ水ソラシティ
カンファレンスセンター2F
テラスルーム 特設会場
2023.8.12 [土] 新作楽器レクチャー&インストアライブ 池袋店
2023.8.13 [日] 新作楽器レクチャー&製作楽器メンテナンス会 渋谷本店

アンドレア・シュッツ×執行恒宏 トークライブ&コンサート

2023年8月11日
会場:クロサワバイオリン お茶の水店
特別ゲスト:執行恒宏

シュッツ氏と執行恒宏氏とのトークライブ。執行氏が「演奏家ならでは」と言えるような、独特な角度からの質問の数々をシュッツ氏へ問いかけていきます。

イベント1日目はお茶の水店でのトークライブ&コンサート。
「プロの演奏家でも、製作家と直接会って話をするというのは大変貴重な機会です」と感慨深い様子の執行氏。
シュッツ氏はどのようなこだわりを持って楽器を製作するのか、何歳から楽器製作に興味を持ったのか、日頃どんな音楽を聴いているのか、演奏されるスタイルを想定して楽器を製作しているか等々……回答が気になる質問ばかりが繰り出されます。
穏やかで和やかな雰囲気で進行する対談に、お客様も興味深そうに相槌を打ちながら聞き入っている様子でした。

お茶の水店恒例の「ブラインド・テイスティング」がはじまります。

バイオリンの演奏順を音色だけで当てるお茶の水店恒例の「ブラインド・テイスティング」。
まずは執行氏の演奏を聴き、できるだけ音色の特長を覚えます。次に客席全員が後ろを向いた状態で、最初とは違う順番で演奏。どの順番で演奏したのかを当てるゲームです。
今回は「Andrea Schudtz 2023年製」、「Andrea Schudtz 2020年製 」、「Andrea Solzi 2023年製」の3挺を聴き比べます。
音色だけで楽器を当てるのは難しいものですが、ズバリ全問正解の方は22名中なんと5名もいらっしゃいました。
スタッフも勇んで参加しましたが、全問正解できたのは3人のうち、たった1人だけ……ブラインド・テイスティングの難しさが伺えます。会場中が盛り上がった楽しいひと時でした。

Andrea Schudtz 2023年製を使用したミニ・コンサート。曲目はバッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番」より抜粋。

「製作された方の目の前で、出来上がったばかりの楽器を弾かせていただく機会はなかなかないことです。」と演奏前の執行氏からは高揚している様子が伝わってきました。
演奏が始まってからのシュッツ氏は、目を閉じて音色に集中していたり、真剣な眼差しで見つめていたり、甘く輝かしい音色を響かせる自身のバイオリンを全身で感じ、楽しんでおられる様子でした。
トークライブからミニ・コンサートまで見どころ沢山の非常に有意義な時間となりました。

執行恒宏 (しぎょう つねひろ)
1973年生まれ 千葉県出身。東京芸術大学附属高校を卒業後同大学入学。在学中より演奏活動を始め、山形交響楽団2nd.Violin首席奏者に就任。後に2006年までコンサートマスターを務める。現在パシフィックフィルハーモニア東京(旧東京ニューシティ管弦楽団)コンサートマスター。その他国内オーケストラのゲストコンサートマスター、東京オペラシティでのリサイタルや各地のオーケストラと協奏曲を共演するなど、ソリストとしても活動。YAMATO String Quartetメンバーとしての他、室内楽の演奏活動も積極的に行っている。またスタジオミュージシャンとしても、これまでに様々なアーティストのレコーディングやツアーに参加 。TVコマーシャルやドラマ 映画 ゲーム音楽などのレコーディングにも多数参加するなど、活動は多岐に渡る。これまでに浅川 多美子、鷲見 康郎、澤 和樹、小林 健次の各氏に師事。

オールド楽器レクチャー & 製作楽器メンテナンス会

2023年8月11日
会場:御茶ノ水ソラシティ特設会場

シュッツ氏自身が厳選して持参した2挺のオールド楽器のレクチャー。

シュッツ氏自身が厳選して持参した2挺のオールドバイオリン「Ferdinando Garimberti(フェルディナンド・ガリンベルティ)」と「Vincenzo Sannino(ヴィンツェンツォ・サニーノ)」の解説。
シュッツ氏が二人の製作家について紹介したのち、弊社のヨーロッパ買付け担当のスタッフが楽器自体の説明をいたしました。レクチャーの終わりに彼は、自身が木材を選定する際に大切にしていることとして「最も重要なのは、ワンピースであってもツーピースであっても美しい杢目であること。また、20年以上シーズニング(乾燥)がなされていて、板の上部を叩いたときに下部にまでしっかりと音が伝達するものを見定めている」と語りました。

A.シュッツ作、またはワークショップ製の楽器オーナー様限定のメンテナンス会。

シュッツ氏はオーナー様の楽器をよく観察し、駒や魂柱の調整を施し、弦のアドバイスをする等コミュニケーションを取りながら丁寧にメンテナンスをしていました。
中には自身の傑作の証として特別な名前を付けた楽器をお持ちのオーナー様もおられ、シュッツ氏も楽器との再会を喜んでいました。

新作楽器レクチャー&インストアライブ

2023年8月12日
会場:クロサワバイオリン池袋店
特別ゲスト: emyu:(エミュー)

emyu:さんとシュッツ氏の対談。emyu:さんがインタビュアーとなり、通訳をしながらトークが進んでいきます。

「イタリアではバカンスの最中でみんなゆっくりと過ごしている中、日本にいらしていただきありがとうございます。」というemyu:さんの人柄がにじむ、あたたかい心遣いでスタートした2日目の池袋店でのイベント。emyu:さんの明るく親しみやすいトークと通訳によって進行していき、前半はシュッツ氏のクレモナの工房や、持参した新作バイオリンの話ののち、会場からの質問タイムへ。会場からはテーブルに並んだバイオリンに関する質問や、1挺あたりにかかる製作時間、使用している木材、楽弓についてなど製作に関する質問が次々と飛び出し、為になる勉強会のような濃い内容となりました。

アンドレア・アマティ作 “il Portoghese” を完全にコピーしたシュッツ氏渾身の作品。
シュッツ氏による新作楽器のレクチャーがはじまります。

後半は画像を使った新作楽器のレクチャー。ひとつひとつの工程がスクリーンへ映し出され、シュッツ氏が丁寧に説明し、お客様も興味深そうに聞いておられました。
イベントの最後にはemyu:さんから「シュッツさんの楽器のような手作りのものには、それぞれのキャラクターやストーリーがあるので、数ある中でも『この楽器がいい』という出会いがあります。楽器を探すときは、ご自身の人生の相棒となるような、満足のいくものを見つけてください。」とメッセージがあり、盛大な拍手で終幕となりました。

emyu:(エミュー) – Violin
classic/jazz/pops/fiddleの他に、タンゴ/アイリッシュ/Rock/アニメソング/ファンタジー・ミュージック/アイドル/Heavy Metalなど、幅広いジャンルに対応。中学生の頃より海外での演奏活動を行う。1991年には長野冬季五輪招致活動メンバーとして英国バーミンガム市で演奏。翌年、Suzuki Ten Childrenに抜擢され、米国18都市で演奏。19歳で渡米。Carol Sindell氏に師事。PSU concert competition入賞。帰国後は、自身の演奏活動のほか、レコーディング、ライブツアーサポート活動を開始。2015年、ロシア・モスクワ市の音楽祭典”Art Football 2015”でBest Instrumental Award第3位受賞。イタリア・ルッカ市の欧州最大級イベント ”Lucca Comics & Games 2015”では、日本からのメインアーティストとして招聘された。

新作楽器レクチャー&製作楽器メンテナンス会

2023年8月13日
会場:クロサワバイオリン 渋谷本店

いよいよ最終日、渋谷本店でのイベントがはじまります。前半は新作楽器製作レクチャー会です。
イベント後半はメンテナンス会。オーナー様の大切な楽器を丁寧に診ていきます。

前半は池袋店と同内容の楽器製作に関するレクチャー会が催され、後半はA.シュッツ作、またはワークショップ製のオーナー様限定のメンテナンス会が開かれました。
レクチャー会にお越しいただいたお客様はシュッツ氏の解説にじっくりと耳を傾け、相槌を打ちながら聞いておられました。メンテナンス会では、シュッツ氏がオーナー様の楽器1挺1挺を丁寧に観察し、魂柱の位置、駒の傾き、ペグ等の調整を施し、コミュニケーションを取りながらメンテナンスしていました。
参加されたお客様から「非常に楽しかったです」と好評いただき、シュッツ氏も喜んでいた様子です。


ご来場ありがとうございました。
次回のイベント開催にご期待ください。